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アルゴン&アルゴンヌ


建築を中心とした旅のブログ http://www.studio-algo.jp/
by algone
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「鑑定士と顔のない依頼人」~感動の時間差攻撃!~

上質で、でも予想しなかった形で裏切られる、なんとも贅沢な映画です。



まず、一流鑑定士のヴァージルが、その天才的な審美眼で、ありとあらゆるものを切り捨てていく様がとてもクールに描かれます。

彼は常に手袋をしています。

クローゼットには、微妙に色や素材の違う革手袋がずらりとならび


「鑑定士と顔のない依頼人」~感動の時間差攻撃!~_a0220901_2114175.jpg




高級レストランでは、自分のイニシャル入りの食器で食事が供されます。


気の利いたジョークをかましたり、「友人」とハグしたり、一見社交的なのですが

でも決して手袋は外さない。



彼の至福の時は、隠し部屋に蒐集した(女性の)肖像画に囲まれるひと時

「鑑定士と顔のない依頼人」~感動の時間差攻撃!~_a0220901_20351563.jpg


生身の人間には触れたくない、2Dオタク



そんな彼に、古い屋敷の調度品、美術品の鑑定を依頼する謎の女性クレア

彼女は訳あって決して姿を見せません。

次第に彼女に興味を持ち、魅かれていくヴァージル。。。


*ここからネタばれあり













前評判では「最後まで見て、どんでん返しの感動」というものだったのですが


エンドロールがでて、第一に思ったのは「なんと後味の悪い話だろう」、、、、


帰り道でも、気が滅入り無口になってしまいました。





アルゴンと話していて意見が分かれたのが「老人施設にいる廃人のヴァージル」と「プラハのカフェ」は時系列でどっちが最後なのか?ということでした。(回想シーンが入っていたりしてはっきりしない)

私は 「プラハのカフェ」が最後だと思ったのですが、

アルゴンは「老人施設」だと言うのです(こっちのほうが絶望的です)


で、二人であの時のあのセリフ、あのシーンの意味はとか、いろいろ話していて、

そしたらいろんな発見があって


プラハのカフェで

「お一人ですか?」という問いかけに対する

「人を待っています」という、一見残酷なヴァージルの答えで、

「あっ!そういうことか」

と気付いたのでした。



そう思い当たると、クレアが編集者に電話で「今度の小説はハッピーエンドにするつもり」と言っていたことや

「偽物の中に本物がある」と繰り返されるセリフなど

いろんな歯車が(!これも象徴的にからくり人形オートマに重なります)噛み合って


映画を見終わって何時間もたってから、じわじわと感動が押し寄せる



なんと贅沢なミステリーなのでしょう



とはいえ、解釈は十人十色

正解はないのかもしれません


最終的には、プラハのカフェにクレアが現れても現れなくても、わたし的にはハッピーエンドなのではないかと思うのです


クレアに会うまでのヴァージルは、ある意味、本当には生きていなかった

クレアに会って、自分の確立してきたガチガチの2Dワールドをぶっ壊されて、

自身崩壊して


そして最後に、愛を信じて再生したのです。





ポスターの宣伝文句の通り、もう一回見たくなりました。


久々に見ごたえのある上質な映画を見ました。
by algone | 2014-02-10 21:16 | 映画 | Trackback | Comments(0)
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