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アルゴン&アルゴンヌ


建築を中心とした旅のブログ http://www.studio-algo.jp/
by algone
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映画版「小さいおうち」

中島京子さんの原作が面白かったので、どんな映画になっているのかとても楽しみにしていました


東北から女中奉公に出てきたタキと、すてきな洋館に住む奥さまのお話し

映画版「小さいおうち」_a0220901_9294265.jpg

*この後ちょっとネタばれを含むかも。。。?




原作のあるものの映画化では配役がすごく気になるというか楽しみなところなのですが

タキちゃんを演じる黒木華がとてもいいです。

若さと初々しさがあふれていて、

奥さまの臈たけた、それでいて女学生気分が抜けない感じと、いい対をなしています



一方で、旦那さま役の片岡孝太郎は、原作とは違ってずいぶん俗っぽい人物になっていて、、、

このあたり、監督の「奥さまとイタクラさんの恋」を擁護する意図が感じられました。


そして、映画化ということで何より楽しみにしていたのが、ジョージ・イタクラの絵本をどう再現しているのか、ということでした。



小さいおうちを中心にして、背景だけが、戦争に向かってきな臭く陰惨な情景に変わっていき

最後にはイタクラさんが体験したであろう非人間的な悲惨なその後を暗示する、

「小さいおうち」という絵本にすごく惹かれたのです。



残念ながら映画ではこの絵本のことは全く触れられませんでした。




この絵本も含め、原作に感じられた、登場人物すべてを突き放すような「毒」は映画ではすっかり抜かれていました。

しかし原作とは別物として、さすが山田洋二監督、というヒューマンドラマに仕上がっていました。



でもどちらにも共通して描かれていたのは、愚かなことも含めて人間が日々躍起になっている瑣末なこと、大事なこと全てが、大きな力に押し流されていく様子でした。


大きな力というのは、戦争でもあるし、時の流れでもあると思います。




もうひとつの見どころは、昭和初期のモダンな風俗を細かく再現しているところ

そして、そんな生活を取り仕切る素敵な奥さま、松たか子

奥さまの意向に忠実に、大変な重労働である家事をきっちりこなすタキちゃん


美しいのです、日常の生活が

イタクラさんが守りたかったのは、奥さまというよりは、2人の女性が切り盛りするそういう暮らしなのではなかったか

それを象徴しているのが「小さいおうち」に他ならないのでしょう
by algone | 2014-02-03 10:09 | 映画 | Trackback | Comments(0)
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